会社設立パートナーズ大阪の司法書士 丸山浩介 です。
会社設立にあたり有益な情報等を、各専門家がご紹介してまいります。
水曜日は、司法書士の丸山が、登記手続き・法務の観点から有益な情報をお伝えさせて頂きます。
さて、今回は、会社の名前、「目的」の決め方です。
会社の目的、つまり会社の事業内容ですが、会社の目的は、その決め方によって様々な影響がありますので、慎重に決定しましょう。
会社の目的を考える際の注意点は、大きくわけると以下の3つになります。
1.許認可の問題
「自分で会社の設立登記をし、許認可を申請したところ、役所に「【〇〇〇〇】という目的が入っていないので、この許認可を出せません。目的に【〇〇〇〇】を追加してください。」と言われてしまいました。」というご相談を受けることがあります。
この場合、目的変更登記をし、再度許認可の申請をせざるを得ません。
会社設立登記の際に目的に入れておけば、余計な費用がかからないので、設立登記の際に、許認可が必要かどうか、必要である場合は、どのような目的を入れておけばよいかについて、注意した上で、登記申請をしましょう。
2.融資の問題
「後で目的を追加するのはお金がかかるから、将来やるかもしれない事業も一応入れておこう」と様々な目的をいれ、会社設立登記を完了し、その後創業融資を受けるために銀行員に審査をお願いしたところ「目的の【〇〇〇〇】は削って頂かないと融資の審査に通りません。」と言われてしまったというご相談も稀にあります。
実際に行っていない事業を目的として登記していると審査が下りない場合もありますし、審査がおりにくい目的もあります。
創業融資を受けられる際には、前もって金融機関と連携し、目的を決められることがよいでしょう。
3.その他法律上の問題
会社は、定款所定の目的の範囲内において、権利を有し、義務を負うと考えられています。
つまり目的の範囲外の行為については、会社は権利義務を有さないということです。
具体的には、取締役が会社の目的の範囲外の行為をした場合に、会社がその行為は目的の範囲外の行為だから無効だと主張することができる可能性がある、会社として行っていない事業を目的に入れていた場合に、取締役が勝手にその目的の範囲内の行為をした場合に、会社としてその向こうを主張できない可能性があるということです。
このような会社の権利義務の基準になるのが「会社の目的」です。
もっとも、目的の範囲内、範囲外の判断については、緩やかに解釈する考え方があります。定款に記載された目的自体だけでなく、目的の達成に必要、または有効な行為も目的の範囲内であると考え、目的達成に必要、有効な行為かどうかの判断は、会社の奥的に現実的に必要かどうかではなく、行為の客観的な性質に即し、抽象的に判断するという考え方があります。
実務上は「前各号に附帯関連する一切の事業」のような文言を入れることで、掲げた目的に関連する事業に関しては、カバーできるようにすることが多いですが、不正競争防止法で保護されるためにも、目的は正確に記載された方が良いでしょう。